フランス料理になったイタリア料理(2)
先月ののんとろっぽ日曜俱楽部、
「フランス料理になったイタリア料理」、大変好評に終わりました。
ありがとうございました。
「フランス料理になったイタリア(1>」に引き続き
ざっくり内容をお伝えしたいと思います。
中世は丸のままローストしたものにせいぜい果物を煮たあまいものに
とりあえず大量のスパイスをぶっかけて食べるという感じでした。
この時代には調理するときには塩を使うことがなく
塩はテーブルの上のsaliera「塩入れ」からナイフで料理にかけて食べていました。
マナーの本にも直接料理を塩入れに突っ込むな!と書かれています。
「塩が高価だったからあまり使われなかったのでは?」という質問を受けましたが
それ以上に高価なスパイスや砂糖じゃんじゃん使っているわけなので
別に塩を使えなかったというわけではないと思います。
今回用意したトスカーナの塩なしパンも「塩が高価だったから」塩なしパンなのではなく
どうやらエトルリア人たちがすでに塩なしパンを愛食していた影響のほうが強いようです。
これについてはもう少し調べないと断言できませんが。
とにかく、陶器の塩入れなどはとても自慢できるアイテムでした。
実際に食事するときには肉を切ったナイフを塩入れに突っ込むと
肉汁が塩についてぐちゃぐちゃに大変なことになるので
別にナイフを用意しました(笑)
ま、ルイ14世も7歳まで身体だか、手だか洗ったことなかったということなので
衛生観念は今と違って「生の生水を使わない」ということに執着していたようです。
さてさて、前置きはこの辺にして
料理はざっくり3つのコースに分かれております。
第一のコース(冷たい、つまり常温の料理)
スルモナ風にんにくのパイ
にんにくは使用人などが食べる粗野な食べ物とされていましたが
健康にいいとされてることもあり、そのおいしさから貴族や金持ちにも愛されていました。
下等な食べ物をそのまま食べることは卑しいとされており
いろいろな理由付けがあれば食べてOKとなります。
例えば当時食べ物の中でも高等なもの、肉のなかでもさらに高等なものは
より天に近い鳥類のお腹に詰めて焼くことは下品とされませんでした(笑)
ほかにもスパイス(金持ちの象徴)と一緒に使うことで
ある意味昇華されるとされ、食べられていました。爆
後付け感がはんぱないデス(笑)
ゆでたニンニクに、羊のフレッシュチーズ、卵、サフラン、生姜、クローブ、シナモン、
パンチェッタとラルド、お好みで戻したブドウをいれるとあります。
タルト生地も塩の入っていない昔風のレシピを採用しました。
実際塩なしなのですがチーズや卵の旨み、パンチェッタの塩気で
塩なんてかけなくってもおいしい!
スパイスもびっくりするくらい入っているのにうるさくなく
静かに包み込んでいます。
言われなければタルト一台にまるまるシナモン1本分くらい、
クローブも8本分以上入っているとは思えないです。
豪華王(il Magnifico 有名なロレンツィオ・ディ・メディチ)ごのみのビアンコマンジャーレ
写真を失念・・・・涙
白いムースといった見た目です。鶏(去勢鶏)とアーモンドのふわふわした食べ物です。
この料理自体はおそらく中世の頃から似たようなものがあったと思われます。
初代タイユバン(ギヨーム・ティレル)の書いた
Le Viandierという本にもそっくりな料理がありますが一番の違いは
ずばり「砂糖」ですね。
薄甘い香りがローズウォーターや少量の生姜を使ったほうが
砂糖のほんのりとした甘さとともによりアーモンドを引き立たせます。
この柔らかい繊細な食べ物は料理の付け合わせとしても食べられていました。
ムースの始まりと言えそうな食感。
肉なのにふわふわなんて!
これもおいしかったです。
そして最後は
カテリーナ風アーティチョーク
肉の中でも鳥類が珍重されていましたが(天に近いほどえらい)
そのモツも愛されていました。
レバーとハツととさか‼(豚足系みたいなコリコリ)!
さっと炒め煮にしてマルサラで香りをつけて
想像以上に品のいい香りです!
アーティチョークもまたフランスへ持ち込んだのは
カテリーナ・デ・メディチでした。
第2のコースへ続く。