巨匠ブロムシュテットのドイツレクイエム
こないだの月曜日はほんとうに久しぶりにコンサートへ行ってきました。
NHKホール、御年90歳のヘルベルト・ブロムシュテットの指揮、
そしてライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏と
ウィーン楽友協会合唱団での
ブラームス、「ドイツレクイエム」です。
(かなり長文なのでこの辺で辞めて結構ですよ~)
宗教曲も合唱もきちんとしたのきくの、初めて。
ゲヴァントハウスも初めて
ブロムシュテットも初めて。

これまではヴィニールレコード(LP)でヘルムート・コッホとベルリン放送交響楽団でしか
ドイツレクイエムは聞いたことがなかったのです。
ゲヴァントハウス管は18世紀オーケストラと同じ並びで
向かって左から
ファーストヴァイオリン、斜め奥にコントラバス(今回は6本!)、そして真ん中脇にチェロ、
そのとなりがヴィオラ、そのやや斜め後ろにティンパニ、で一番右がセカンドヴァイオリン。
セカンドヴァイオリンの後ろにオルガンとハープ(2台‼)
後の管楽器の列は前の段が左から木管系 ピッコロ真ん中にオーボエ、
そしてトランペット、一番右はチューバ。
後列は左からホルン→バスーン→トロンボーンでした。
昔風の並びですね。
モノラル録音をよく聞いている身としては・・・
なのかどうかはわかならいけど
この並びはすごく体にすっと音楽が入ってくる気がします。
そして100人くらいのウィーン楽友協会合唱団。
素晴らしいです。
大所帯・・。
1階席はお金と時間がありそうなコアなファンの方々、
3階席もけっこう混んでてみると皆様今回のブロムシュテットのいくつかの講演を見るために
どうやら何度も足を運んでらっしゃると思しき
若めのクラシックファンの人たちも多くて喜ばしい気分になりました。
期待が高まり・・・
90歳の巨匠。
拍手に迎えられ、現れたブロムシュテットは驚きの若さ!!
杖や介助もなしでスタスタと指揮台へ!
つやつやしてます!
お辞儀をしたらさっそく演奏へ。
ドイツレクイエムの第1地楽章最初の部分、レコードで聴いていてもあまり聞こえないけれど
ゲヴァントハウス管のコントラバスはすごかった!!
大地の鼓動のように6本のコントラバスが正しく動き始める。
そしてチェロ、ヴィオラのソ→シ→ドのフレーズ。(何度も出てくるテーマです。)
そしてウィーン楽友協会合唱団だからといってもどうなの?と思っていた私を覆す
素晴らしい合唱の始まり。(こちらもソ→シ→ド)
すでに冒頭で素晴らしすぎて泣きそうになっちゃって・・・・
でも今泣いたら負けだ!(最初から泣くと最後まで泣きっぱなしになるから)
と強く自分に言い聞かせました(笑)
そして感動のまま第1楽章が終わり次はロ短調から始まる第二楽章へ!
息つかせぬ勢いで合唱団も立ったまま2楽章へ‼
正直普段ロ短調って多分宗教的に悲劇的な調なんだろうけれど
あんまりその気になれない日本人です。。
しかし今回はすごかった!
なんというか、ブロムシュテットの大地が地球が大きく動くんです。
ある意味ブロムシュテットが神のような。
プレートが激しく動くような感じ。
そして解決。長調へと明るい音型で第2楽章が終わります。
(解決は救いなのかもしれないけれど
あとまだこの曲だいぶあるのに2楽章内で悲劇的→解決って早くない?って
ブラームスにいつもちょっとだけ思っちゃう。ごめんなさい。)
90歳は先ほどの楽章の合間は小休止もなしでしたが
一瞬合唱団を座らせてまた立たせて。
観客のが疲れてその瞬間にもぞもぞしたり咳払いする人多数。
あんまりいい演奏なんでみんな緊張しすぎてこわばっちゃったかな。
3楽章はバリトン(ミヒャエル・ナジ)も加わり
演奏ななおもさえざえとくっきりと動く。
っていうティンパニーがすごい!
悪目立ちすることもあるティンパニーだけど
コントラバスと一緒に一体化して大地の鼓動を打ったり、
そして疾走したり、時にはリズムも踊る。
バリトンも真面目な感じで大変結構!
(基本歌系苦手意識あり)
4楽章もブロムシュテットは疲れ知らずでぐんぐん進みます。
森の中を風のようにすり抜けたり、
大気圏まで行って地球を眺めてみたり。。。
5楽章のソプラノ(ハンナ・モリソン)もよかった!
声はすこし細目だけど音程もよろしく、素敵でした。
今回のドイツレクイエム、歌詞を膝の上に開いてたのだけれど
ぜんぜん見もしないくらい集中してたな。
6楽章はアンダンテ、ヴィバーチェ、アッレグロと三つに分かれているけどくっついてる感じ。
ブロムシュテットはなおも高い集中力で音楽を進めていく。
彼の背中は観客をも指揮してるんじゃないかと思う。
でもこの演奏は休憩なしでぶっ続けだから
正直だんだん観客の体力ほうが減ってきてるんじゃないかと思うくらい
(実際、楽章の合間に動く人が増える)
ブロムシュテットのほうが元気。
日本人、体力ないな~なんて一瞬思う。
このちょっとしつこくないかい?ブラームス君。
そして最終楽章。
また何度も繰り返されたソ→シ→ドから反対の下降音階ド→ら→ソ
そしてさらにソから下り続ける流れるような盛り上がり。
1楽章を思い出すこの音型が好き。
大気圏から大地や森へ帰ってきて
生命への賛歌を歌う。
ちょっと第一楽章と最終楽章でサンドイッチされている?
日はまためぐり、鳥は歌い、大地は鼓動する。
素晴らしい世界だった。
おもいだすとぐっすんきちゃうよ。
本当に素晴らしかった。
聞きに行けて本当に良かった。
拍手鳴りやまず何度も何度も出てきたブロムシュテット。
一時間以上たちっぱなしで指揮を終えたというのに
スタスタ、スタスタ、スタスタ。
また来年も来る予定みたいだから楽しみにしています。
余談:11月19日(日)にNHK eテレで午後9時から今回のNHK音楽祭のハイライトが見れます。
多分ドイツレクイエムは最後かな